iconホーム >研究会の概要

 本研究会は、平成6年(1994年)1月29日に松田晋哉(産業医科大学)、城内博(産業医学総合研究所(当時))、川上剛(労働科学研究所(当時))の3名からなる有志で労働衛生国際協力研究会の世話人会が発足し、同年3月第67回日本産業衛生学会の場において、発展途上国の労働者の健康改善とそのために有用な研究・技術協力に関心のある有志が自由集会を開催したのが発端である。 産業衛生学会の既存の研究会が特定の技術分野の課題をめぐって設立されてきたのに対し、労働衛生国際協力研究会は産業保健の異なる専門分野をもつ研究者が、発展途上国への成果のあがる技術協力はどうあるべきかという、いわば横糸を通して共同作業を開始したところにユニークな特色がある。
 岡山における自由集会では発展途上国との国際協力にいろいろな形で関わってきた学会員が話題提供を行い、引き続いて討論が行われたが、これまでの我が国の産業保健における国際協力が個別の専門家の善意や努力の割に全体としてかならずしも十分な成果が上がらないのはなぜか、今後さらにどのような新しいアプローチが必要かということについて真剣な議論が行われた。 こうした積み重ねをもとに、労働衛生国際協力研究会は平成8(1996)年度に日本産業衛生学会の正式の研究会として登録された。20番目の研究会である。その設立趣意書には、この研究会の目的が次のように書かれている。

「近年産業活動の国際化が進み、多くの発展途上国が急速な工業化に直面している。これらの諸国においては、働く人々の健康と安全を保持増進し、健全な産業活動の育成を行うことが急務となっている。我が国は日本産業衛生学会の伝統を長年にわたって労働衛生・産業医学の研究および改善活動をつづけており、その経験を産業界の急速な発展途上にある国々と共有し、現場の安全衛生の改善に役立つ、国際的な視野に立った労働衛生・産業医学の研究を発展させるべき時期にある。このための学術活動の推進および日本産業衛生学会会員間の経験交流に資するために、労働衛生国際協力研究会を設立する。」


== 発起人 ==
小木 和孝、青柳 幹治、井谷 徹、大久保 利晃、海道 昌宣、川上 剛、岸田 孝弥、城内 博、天明 佳臣、中桐 伸五、久永 直見、二塚 信、松田 晋哉、毛利 一平、吉村 健清 (敬称略)