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令和5(2023)年
2023年度は、春の総会の開催期間中に1回と2023年秋冬頃に1回、合計2回の研究会開催を企画する。
第46回研究会(2023年5月10日(水)18:30-19:30,現地:ライトキューブ宇都宮とライブ配信を組み合わせたハイブリット方式で開催)は、本研究会の世話人でもある小木和孝氏(大原記念労働科学研究所・元ILO労働条件環境局局長・元ICOH会長)より「ポストコロナを見据えたこれからの労働衛生国際協力」についてご講演いただいた。半世紀にわたる小木氏の国際協力をご紹介いただきながら、COVID-19対策を契機に新たな国際協調が進んだこと、労働衛生国際協力は、包括的視点での予防に力点をおき、手順の容易化が重要である事などについて話題提供いただいた。
令和4(2022)年
2022年度は、春の総会の開催期間中に1回と2022年冬に1回、合計2回の研究会を開催した。
第44回研究会(2022年5月26日(木)10:00-11:00,現地:オーテピア研修室とライブ配信を組み合わせたハイブリット方式で開催)は、第94回日本産業衛生学会での自由集会の企画に引き続き、「アジア新興国における労働安全衛生体制の現状と課題~海外拠点を持つ日本企業における産業保健専門職に求められる基本的な知識」をテーマに、インドネシアとベトナムの状況について話題提供いただいた。
第45回研究会(2023年12月12日(月)13:00-15:00,Zoomオンラインミーティングを用いたLIVE配信で開催)は、氏田由可先生(ILO東・東南アジア太平洋ディーセントワーク技術支援チーム)をお招きし、「ILOにおける労働安全衛生の方向性:労働における基本原則及び権利に関するILO宣言」の特別講演と一般演題にて開催した。
令和3(2021)年
2021年度は、春の総会の開催期間中に1回と2021年11月に1回、合計2回の研究会を開催した。また、オンライン産業安全保健参加型トレーニングワークショップ(メコンデルタ2022)を共同開催した。新型コロナウイルス感染症拡大によるオンライン学会への変更にあわせて、いずれの研究会もオンライン開催とした。
第42回研究会(2021年5月21日(金)10:00-11:00,Zoomミーティングルーム使用によるオンライン研究会)は、第94回日本産業衛生学会のライブ配信期間中に開催した。「アジア新興国における労働安全衛生体制の現状と課題~海外拠点を持つ日本企業における産業保健専門職に求められる基本的な知識」をテーマに、3人の話題提供者から報告があった。まず、梶木繁之氏(株式会社 産業保健コンサルティング アルク)から「海外事業場におけるグローバル労働安全衛生体制構築に必要な情報の視点」と題して、グローバル化に伴う日本企業の海外進出によりグローバル視点での労働安全衛生体制の構築が喫緊の課題となっていること、そのためアジア新興国の労働安全衛生体制について効率的に把握し、各国の特性に応じた活動を展開していくことが重要であることが示された。そのためアジア新興国の労働安全衛生体制について把握するためのチェックリストの作成や運用等を行ってきた経験について報告があり、それらの手法を用いて実際に把握した2つのアジア新興国の労働安全衛生体制の現状と課題について続く話題提供者から報告があった。2人目の話題提供者である伊藤直人氏(コマツ製作所)からは中国における労働安全衛生体制の現状と課題について、3人目の話題提供者の石丸知宏氏(産業医科大学)はインドにおける労働安全衛生体制の現状と課題についてそれぞれ報告がなされた。労働安全衛生国際協力研究会では春の総会の自由集会では、アジア新興国の労働安全衛生体制の現状と課題と題して各国の現状や課題を引き続き報告意見交換していくことが確認された。 企業の海外進出が加速しているアジア新興国のうち、中国、インドにおける、現地の労働安全衛生制度の現状や、日本企業がこれらの国々でグローバル展開する際の労働安全衛生上の課題について話題提供を行い、日本企業が海外拠点において実効性のあるグローバル労働安全衛生体制構築を支援するための産業保健専門職に求められる方策について検討する場としていくことが合意された。
第43回研究会(2021年11月9日(火)1500-17:00,Zoomミーティングルーム使用によるオンライン研究会)は一般演題発表2演題を含む研究会独自開催の研究会として開催した。特別講演として、本研究会の世話人でもある川上 剛氏(ILO南アジアディーセントワーク技術支援チーム、ニューデリー)から「インド・南アジア地域における労働衛生の課題とILOの技術協力」について講演いただいた。インド・南アジア諸国では産業化の進展と共に産業保健・労働衛生の課題が増大している。職場におけるCOVID-19対策も焦眉の課題である。とりわけ中小企業・インフォーマル経済職場への支援が優先課題である。国によっては労働者の90%以上がインフォーマル経済職場で働いており、産業保健サービスや行政支援の枠外にある。ILOでは地元政労使と協力しながら、繊維産業、家内労働、小規模建設、紅茶プランテーション、清掃作業、電子廃棄物リサイクル、船舶リサイクル職場等を対象に、参加型トレーニング、政策法制度強化、労働災害職業病報告制度強化の技術協力活動を続けてきた。これらの経験から国際労働基準を参照しながら同時に地元にある好事例に依拠して、労使自身の職場安全衛生リスクの同定と改善を支援促進することが成果のあがる産業保健・労働衛生活動を生みだす上で重要であるとまとめた。一般演題は2演題で、仲尾豊樹氏(東京労働安全衛生センター)から「リモートで実施された国際良好事例写真コンテスト」について発表があった。2000年以来ベトナム社会主義共和国カント市で、参加型改善国際研修を行っている経験から、COVID-19による海外渡航が難しい状況中、2021年8月28日リモートで良好事例写真コンテストの開催について報告があった。次に、石丸知宏氏(産業医科大学)からは「COVID-19流行下におけるWHO協力センター事業」として、WHO協力センターが行っている翻訳事業について紹介がなされた。WHOでは様々な研修教材が作成されているが、主に途上国を対象としていたり、日本でのニーズが少ない等の理由でこれまで日本語での情報が限られていたが、COVID-19流行という世界的な問題に対して、産業医科大学産業生態科学研究所と労働安全衛生総合研究所はWHOと共同で労働安全衛生分野のCOVID-19に関するオンライン教材の日本語訳を進め公開した。本事業をきっかけにWHOの研修教材の普及展開や優れた日本語教材の逆輸入など、WHO協力センターとしての新たな事業としての展開が期待されるとまとめた。
8月28日(土)にベトナム、インドネシア、韓国、日本の産業保健関係者との産業安全保健参加型トレーニングワークショップのオンライン企画を共同開催し、各国の良好事例写真を用いた写真投票とグループディスカッションをオンライン上で実施した。100人以上の参加者によるグループディスカッションで、コロナ禍における働く人々の安全と健康を確保するための職場改善の良好事例について活発に意見交換した。メコンデルタ2021に関する詳細はこちら(別サイトにリンク)
令和2(2020)年
2020年度は、春の総会の開催期間中に1回と2021年2月に1回、合計2回の研究会開催を企画したが、新型コロナウイルス感染症拡大による緊急事態宣言等から開催を中止した。
令和元(2019)年
第40回研究会(2019年5月24日(金)16:30-1800,名古屋国際会議場第16会場)は、第92回産業衛生学会と同日に開催した。「労働衛生国際協力のこれまでとこれから」をテーマに、本研究会の発起人の1人であり労働衛生国際協力の礎を築いてきた小木和孝氏(ICOH前会長・元ILO労働条件環境局長)と次世代を担う3人の若手研究者との意見交換の場を通し、労働衛生国際協力の今後の発展課題について検討した。このテーマで自由集会を設定した企画意図としては、日本の産業保健分野における国際協力の歴史的変遷を振り返り50年という節目を迎えたことにある。戦後まもなくの1956(昭和31)年に東京で第1回アジア産業保健学会(ACOH)が開催され、1969(昭和44)年9月にはアジアで初めて第16回国際産業保健学会(ICOH)が東京で開催された。つまり2019年は、第16回国際産業保健学会が東京で開催されてから50年が経過したことになる。そこで、1994(平成6)年に発足し、発展途上国の労働者の健康改善とそのために有用な研究・技術協力に関する交流の場として研究会活動を続けてきた労働衛生国際協力研究会の全世話人代表で、国際的な活躍をされてきた小木氏から国際産業保健の50年を振り返っていただき、今後の50年のあり方を考える機会として次世代を担う3人の若手研究者、吉川徹(労働安全衛生総合研究所)、佐野友美(大原記念労働科学研究所)、石丸知宏(産業医科大学)からの質問に答える形で、今後の発展課題について意見交換を行った。
第41回研究会(2020年2月22日:産業医科大学病院・3階大会議室)は、「第11回日韓参加型産業安全保健トレーニングワークショップ」にあわせて、日韓の参加型職場環境改善事例を中心に一般演題を募り、日本2演題、韓国1演題に加え、タイ1演題の合計4演題による研究発表を行った。日本、韓国、タイの参加国から34名の参加者が集まり、熱心な意見交換が行われた。日本からは木村絵梨氏(日立製作所株式会社)によるストレスチェック後の集団分析から職場環境改善の取り組み実践について発表があり、ITツールを用いた中間フォローアップなど事業所特性に合わせたきめ細やかなアプローチで各職場において参加型職場環境改善が進んだことが報告された。奥村隆志氏(東京労働安全衛生センター)からは知的障害児(者)の福祉施設での衛生委員会を中心とした参加型職場環境改善の取り組みについて報告がなされた。施設内職員だけでなく外来者も投票ができるビフォー・アフター改善写真コンテストなどで職場環境改善の職場内での機運を高め、なるべく負担感なく職場で環境改善に取り組む工夫が重要であると述べていた。韓国からの発表は、「参加型心脳血管疾患予防活動プログラムが地域住民の健康生活習慣改善に及ぼす効果」として、Lee Myung Sook氏(Council of Group Occupational Health Service)により、地域住民を対象とした生活習慣病予防プログラムに参加型アプローチの手法を取り入れたユニークな健康改善プログラム開発に関する報告がなされた。地域特性を考慮したアクションチェックリスト開発、チェックリストを活用した健康向上プログラムを実施した結果、健康エンパワーメントと心脳血管疾患の自己効力感が有意に上昇したと述べていた。地域社会の健康生活習慣の改善にも参加型の手法が有効であることが確認された。最後に、タイからは、Chavinthorn MAIYAPAKDEE氏(タマサート大学)が、タイにおける産業安全保健の新潮流としてのビジョン・ゼロに関する現状報告ならびにThammasat 大学での安全衛生活動に関する実践ついて発表した。
平成30(2018)年
平成30年度は、2回の研究会開催を実施した。第38回研究会(2018年5月29日:熊本県民交流館パレア)は、第91回産業衛生学会と同日に開催した。「インド・南アジア諸国におけるILO産業保健技術協力」をテーマに、本研究会の世話人の1人でありILOニューデリー労働安全保健・労働監督上級専門家の川上剛氏が講演を行った。インド・南アジアではインフォーマル労働者の割合が多く、インドでは現行の法律で産業保健がカバーされているのは10%以下の労働者で、労基署の人材不足から監督業務にも支障をきたしている現状がある。これらの現状に対して、ILOとしての国レベルでの産業保健システム構築のサポートや、多国籍企業・サプライチェーンに着目した取り組み、インドや南アジアで展開している労使協働の参加型職場環境改善トレーニングに関する紹介がなされた。これからの課題として、船舶解体業の安全衛生向上や電子廃棄物(E-waste)リサイクル作業での安全衛生対策など、地域特有の産業構造なども踏まえた対策を実施していく必要があるとまとめた。
第39回研究会(2019年2月16日:韓国・大邱勤労者健康センター)は、労働衛生国際協力研究会の初の試みとして韓国で開催した。「第10回日韓参加型産業安全保健トレーニングワークショップ」にあわせて、日韓の参加型職場環境改善事例を中心に一般演題とし募り、50人の参加者での活発な意見交換を行った。演題は4演題であった。日本からは佐野友美氏(大原記念労働科学研究所)が同研究所のデジタルアーカイブスに関する報告がなされ、参加型職場環境改善に関するデータベース構築の必要性を述べていた。飯田裕貴子氏(東京工業大学大学院)は、「健康管理を行う実務者(産業医、産業看護師、衛生管理者等)へのPAOTトレーニング実施報告」として日本産業衛生学会関東地方会の多職種連携の会等で行われているワークショップについて報告があった。韓国からの発表者はいずれも参加型職場環境改善の実践事例報告であった。チョン・チュンジャ氏(大韓産業保健協会ウルサン産業保健センター)は「管理監督者と一緒に行った参加型安全衛生改善活動」について、キム・ドクジョン氏とパク・キオク氏(ウルサン北区非正規職労働者支援センター)から「学校給食労働者の作業環境改善事業」について発表があった。韓国では代行産業保健機関や勤労者健康センターを基盤とした中小企業での参加型職場環境改善の展開はなされていたが、非正規労働者や組合、行政組織と協働しながらの参加型職場環境改善の展開などあらたなカウンターパートを得て、取り組み基盤が広がっていることが特徴的であった。引き続き、国際的視点からの良好事例の収集や交流が必要であると考える。
平成29(2017)年
第36回研究会(2017年5月13日:東京)は、第90回産業衛生学会と同日に開催した。アジアの新・新興国での技術協力をテーマとし、外山尚紀氏(東京労働安全衛生センター)はミャンマーでの、吉川悦子氏(日赤看護大学)はカンボジアでの参加型改善活動の指導経験をそれぞれ報告した。これらの国々においては、安全衛生の技術協力を進めるうえでの制約が少なくないものの、労働者の参加型改善活動の受け入れは良好であり、将来の成果を期待できるだけの反応があったことが確認された。継続的な取り組みが望まれる。
「第9回日韓参加型産業安全保健トレーニングワークショップ」を後援した。メンタルヘルス一次予防における参加型職場環境改善のためのツール開発をテーマとして、2018年2月23-24日の2日間で東京工科大学蒲田キャンパスにおいて開催された。ものづくりの街として小規模零細企業が多く所在する大田区の特色を活かし、京浜工業地帯の昭和島にある鉄工所を訪問し、アクションチェックリスト演習を行った。日本人参加者34名、韓国人参加者13名で産業保健領域の実務者や研究者、大学生なども参加し、小規模零細企業における働きやすい職場環境、さらにそれらを支援する産業保健サービスのあり方について活発な意見交換がなされた。
平成28(2016)年
第35回研究会(2017年3月29日:大原記念労働科学研究所)は、「労働安全衛生分野の継続的な参加型アプローチの展開」をメインテーマとし、フィリピン労働安全衛生センターのJose Maria S. Batino氏が「Occupational Safety and Health in the Philippine」について基調講演を行った。そのほか一般演題として2つの演題が発表され、活発なディスカッションを通じて、フィリピン、日本の継続的な良好事例の共有を進めていく方向性が提案された。
平成27年
平成27年度は、第88回産業衛生学会において第33回研究会を開催した。労働安全衛生総合研究所の吉川徹氏より、「エボラウイルス感染症の世界的流行と産業安全保健の役割」と題して話題の提供があった。吉川氏は、2014年11月から2015年3月まで約3か月間、世界保健機関(WHO)リベリア労働安全衛生コーディネターとして、エボラウイルス感染症対策の最前線において、医療保健スタッフの安全・健康確保に貢献した。現地でのたくさんの写真を交えながら、厳しい環境や異なる文化など、困難な条件の下で国際協力の活動がどのように進められたのか、現場での裏話なども含め、圧倒的なリアリティをもって報告していただいた。エボラ対策の現場でも、研究会がこれまで推進してきた参加型の改善活動をベースに、様々なツールやトレーニングのプログラムが開発され、それらが大変効果的であったことを知ることができ、大変勇気づけられる報告でもあった。  また福井大学の日下幸則氏より、ASEAN版職業病診断基準作りワーキンググループにアドバイザーとして参加した経験が報告された。職業病サーベイランスに対する世界的な関心が高まっている中で、ASEANでこうした動きが始まっていることは興味深い。職業病の診断基準は、補償などの問題が絡んでくると途端に難しくなるうえに、社会的背景が異なる国の間で統一したものを作るとなると、大変な労力を必要とすることは容易に想像できる。今後の動きに注目すると同時に、この分野での日本との経験の交流が進むことを期待したいし、研究会としてもその橋渡しの役割を果たせるよう努力したい。
平成26年
平成26年度は第85回産業衛生学会において第30回研究会を開催した。
平成25年
平成25年度は第86回産業衛生学会において第31回研究会を開催した。特別報告では産業医科大学産業生態研究所の梶木繁之氏より、「日系企業の海外事業場における産業保健活動の在り方 ~真のグローバルカンパニーになるために日本企業に必要なこと~」と題し、日系企業の海外事業場で働く労働者の健康管理の在り方について、過去2年にわたる調査結果が紹介され、活発な討議が行われた。 また会員活動報告として、福井大学医学部環境保健学の田村太郎氏より、AirPneumoプロジェクトの報告があった。本プロジェクトに関しては、今年度「アジアじん肺読影医養成コース第3回日本コース」が順天堂大学において開催(8月16日~18日)され、研究会として企画に参加した。 平成26年度には、福岡においてACOHが開催されることから、研究会として積極的に参加することを確認した。
平成24年
平成24年度は第85回産業衛生学会において第30回となる研究会を開催した。タイ国マヒドン大学公衆衛生学部、非正規労働者研究センターのSara Arphorn氏が、”Workers and Flood in Thailand”と題して、2011年の後半、タイに甚大な被害を与えた洪水と当時の労働者の様子について報告し、また日立横浜病院の石丸知宏氏が、「アジアの産業保健から学ぶ -国際協力を通じて感じたこと、成長できたこと-」と題して、自らの国際協力の経験を語った。  この他、会員活動報告として、山本秀樹氏(帝京大学)がアジア太平洋地区公衆衛生教育専門家協会会議(APACPH)について、田村太郎氏(福井大学)がアジアじん肺レントゲン読影診断医養成講座(AIR Pneumo)についてそれぞれ報告した。  また昨年の第一回に引き続き、AIR Pneumo(アジアじん肺読影トレーニングプログラム)日本企画運営委員会(委員長、日下幸則福井大学医学部教授)による、「第2回日本AIR Pneumo講座・第6回アジアじん肺レントゲン写真読影医養成ワークショップ」を研究会として後援した。
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